裁判員制度というお遊び

裁判員制度で何が変わったか

 鳴り物入りで始まった裁判員制度であるが、司法制度がどの程度に改革されたのか、あるいは改革されようとしているのか考えてみたい。まず対象となる刑事裁判の件数からみると、昨年度のデータによると全刑事裁判件数は9.4万件であり、そのうち、この制度の対象となる刑事事件は2300件だから、僅か2.5%しかないことを知るべきである。普通の人に馴染のある窃盗、薬物、ストーカーなどの事件は裁判員裁判の対象から外れているからだ。

 司法改革の目的の一つに、裁判の迅速化や簡素化が謳われているが、これでは全くこれまでとは変わらないことが分かる。裁判員裁判の対象外裁判では、相変わらず、以前と同じように、裁判官は専門用語を連発し、検察官が調書をだらだらと読み上げていることには変わりはない。人件費の削減や時間の短縮などは絵に描いた餅であることが分かる。


 最高裁のHPによると、この制度の目的は「国民が刑事裁判に参加することで、裁判が身近で分かりやすいものとなり、司法に対する信頼の向上につながる」となっている。ところが、普通の人にとって、裁判員に選ばれる確率は100年に1度だから、とても身近なものとはいえない。この制度の導入に使った予算は100億円という。中には薬物で捕まった女優を使った宣伝映画まで含まれている。


 これではこの制度は、国民参加をだしにしたお役人のお遊びか天下り先を準備したことに使われたとしか思えない。裁判の主人公は裁判官でも、検事でも、弁護士でもなく被告人であることを思えば、何だかわけのわからない素人に裁かれることは、被告人の人権侵害にもあたるように思える。
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