自民党の再生

自民党の立場
 「みんなでやろうぜ」と何をするのか不明だが、いささか品のない言葉で総裁となったものの、この人はいつも影の薄い人で、加藤の乱の時の姿しか印象にない。誰からも悪口を聞かない人と、殆どの評論家が言うが、ただ皆にいい顔しているだけであろう。過激な発言を繰り返していた人は、さすがに議員票は最下位であったが、地方票を3分の1獲得したことには驚いた。それだけ地方では、次期選挙での危機感が浸透していることがわかる。このまま公明党との協力関係が切れると、選挙ではますますその地位を失うからである。



 新総裁の話を聞いても、これからどのように党を組み立て行くのか、その方向が全く見えない。これまでの実績と路線を皆で継承していこうということしか伝わってこない。民主党政権に対する対立軸すら曖昧である。自民党は官僚をうまく使いこなしてきたというが、そうではなくて、官僚の思い通りに、自民党は帽子として官僚に利用されてきただけである。だから誰が大臣に就任しても、全く問題はなく、ポストが派閥と当選回数の功労賞として利用されてきただけだ。


 いわば、自民党を没落させた張本人は官僚機構そのものである。自民党の議員は自ら考えることを放棄して、国会での質問から答弁まですべて官僚作文の朗読者にすぎなかった。それでもGDPが右肩上がりの時代には、問題が表面に出ることはなかった。国民の給与も毎年増加していたからである。1990年以降、経済成長が止まり雇用不安や賃金の成長が止まったことで、国民は何かおかしなことが霞が関と永田町で行われているのではないかと疑い出した。


 「改革なくして成長なし」の小泉さんや、官僚政治からの脱却をうたった安倍さんなどは、自民党に危機感を感じていたと思う。けれども、組織内での改革には限界があり、結局は官僚のしたい放題を崩すことはできなかった。今後、自民党が寄って立つ基盤は明確で、現在政権にない米国の共和党や英国の保守党と同じ路線で「右派中道政権」である。中味は小さな政府、修正市場原理主義、大企業の育成など方向ははっきりしている。英国は来年の選挙で、この保守党政権が誕生するから、良く研究することだ。
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