新雇用政策

フレキシキュリティ
 EUでは、柔軟性と保障を意味する英語を組み合わせた「フレキシキュリティ」というキーワードで、新たな雇用政策を打ち出している。雇用や解雇を容易にした米国型と高税負担で雇用保障をする北欧型の中間の政策で、デンマークやオランダといった欧州の小国ですでに取り入れられている。「労働市場の柔軟性」と「雇用の保障」を両立させる考え方である。この考え方は、すでに民主党政権では十分に検討されていると思う。



 EUは2005年にフレキシキュリティを取り入れる雇用戦略を提案した。2006年にはEUの雇用状況を分析する報告書「EUにおける雇用政策2006」でフレキシキュリティを特集し、加盟国に対して、フレキシキュリティ導入を強く奨励している。お手本とするデンマークの政策は「黄金の三角形」と呼ばれ、「解雇しやすい柔軟な労働市場」、「手厚い失業給付」、「充実した職業訓練プログラム」を軸とする三の政策が有機的に連携している点が要点という。


 解雇規制の緩和で労働力の移動を容易にし、産業構造転換を図りやすくする。同時に、失業対策を講じて労働者の不安を取り除く。それだけだと、失業者が保障に頼って働かなくなるので、それを防ぐために、失業手当を受け取るための条件として、職業訓練プログラムへの参加を義務づけ、失業者のスキルを高めて再就職を促す仕組みを整えている。

 雇用保障を労働市場全体で行う考え方で、この結果、長期失業率は減少することが示されている。民主党政権でも十分に検討していることと思う。
http://iiaoki.jugem.jp/
*Flexicurity:Flexibility+Security