中国の情報規制

中国はどこへ向かうか
 建国から60年、天安門事件から20年、最近ではロシアでも北朝鮮でもやらなくなった軍事パレードが北京で華々しく行われた。「新中国60年の発展と進歩は、社会主義のみが中国を救えることを証明した」と国家主席が宣言して、共産党政権下での国力の飛躍を13億人の国民に示した。軍事予算は米国に次ぐ第2位、GDPは第3位、人口は第1位の国家は60近い民族から成り立ている。昨年の北京五輪、来年5月の上海万博など国際的な存在感も増している。

 だが内包するさまざまな問題は華々しいパレードでは払拭できない。最大の問題は共産党独裁による党員や幹部の汚職や職権乱用であろう。日本の役所にあるような裏金は小金庫と呼ばれて、地方組織の隅々にまで及んでいる。その規模は国家予算の1%にも達する。これにより党幹部や既得権益層と国民との格差は拡大し、掛け声の調和社会の実現を壊している。腐敗の拡大、国民の離反、社会の不安定化という連鎖を断ち切ることは現体制のままでは不可能であろう。

 都市と農村部との格差、拝金主義とモラルの荒廃、少数民族との対立、資源獲得外交、環境問題、忍び寄る高齢化社会など数え上げればきりがない。市場経済を取り入れた共産党独裁政権のかじ取りは難しい。20世紀末の東欧圏社会主義の崩壊は経済の悪化が根本にあるが、教育の普及で識字率が上がり通信手段が発達し、電波が国境を超えたことで情報洪水に見舞われたことがその端緒となっている。

 ネット利用者を網民と中国では言うが、この利用者が国民の3割に達し、携帯電話利用者は5割に達しているという。政府がいくらネット規制の網を被せても、防げるものではない。24時間監視している中国のネット接続遮断システムは世界で最大で最先端であるし、さらに、有害サイト検閲ソフトのパソコン搭載を義務付けることも行われる。しかしながら、ウイルスを駆除できないのと同じで、ネット上での抜け道はいくらでも作ることができる。ネットが社会を変えていくことには変わりはない。
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