日本の外交

国連での日本の地位
 日本は戦後一貫して国連中心外交を謳ってきたし、さまざまな分野で日本の真摯な取り組みは一応の評価を受けている。けれども、国際連合が第二次大戦後に発足したときに、ドイツと日本は敵国であったので、国連憲章に未だに、この敵国条項が残っているが、その敵国である日本は国連予算の2割近くを分担している割には、日本の存在感が国連では薄い。この分担金の割合は米国を除く常任理事国の英仏中露の4カ国の合計よりも多い。


 この財政面での貢献に加えて、軍縮安保理改革、事務局の効率化、公平な分担金率の設定など、正論を唱えても日本の主張は通ることが少ない。国連総会に参加する192カ国のうち、中国と連帯する77カ国の途上国グループ、25カ国の欧州連合EU)、53カ国のアフリカ連合などが、数の力で圧倒することにもよるが、基本的には日本の国内事情によるところが大きいのではないかと思う。

 分担金の割には国連に勤務する日本人職員の数は望ましい職員数の3分の1で100人程度しかいないし、幹部職員数では中国よりも少ない。会社では崩れてきているとはいえ、いまだ存続する年功序列制度や国際関係が重要とは言いながら、依然として国内重視の政策で、積極的に海外に出て行こうとする人材がいないし、いったん海外勤務を経験した人は帰国後やはり冷遇されることが多い。まるで江戸時代の鎖国のときと同じみたいである。

 同じような現象は、ジュネーブに本部を置く各種の国際機関でも見られる。管理人はISOでの国際機関の長を10年間務めた経験がある。このときに感じたことは、日本の代表ではないので、総会でもできるだけ日本人との接触を避けたというか、参加している各国の代表と等距離で接するようにしていた。また、議長として日本の国益を尊重するようなことは避けていた。このような態度は日本国内では、あろうことか賞賛の的ではなくて、批判の対象になるのである。これではいつまでたっても、太平洋戦争以前と同じように、日本国の外交は三流といわれても仕方がない。
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