急速に進む電気自動車

21世紀の産業革命
  歴史で習う産業革命は、18世紀中期に英国で開発された蒸気機関による動力革命であったが、現在の産業革命化石燃料を使う動力から、電池が支配する化学反応が生み出すエネルギーへの転換である。20世紀の初頭にも、自動車の動力源として、ガソリンか電池かの選択競争があったが、この時にはガソリンが勝利した。100年後の今日、同じ争いが起きているが、21世紀はガソリン車支配が終わりを迎えようとしている。

 20世紀の後半では、日本での産業の牽引車は鉄鋼であったが、その後、自動車産業がその役目を引き受けたはずであった。ところが自動車の駆動燃料をガソリンだけに頼っていたのでは、もはやその将来の限界が見えてきた。世界に先駆けて実用化したガソリンと電池とのハイブリッド車はリッター当たりの走行距離が平均35Kmと最高水準の燃費性能を発揮している。97年に発売以来、累計販売台数が100万台を超えている。トヨタに続いてホンダも発売しているが、この技術はガソリン車から電池車へ移る過渡期の技術にすぎない。


  ガソリンエンジンは完成された機械工学の粋が柱であるが、電気自動車になれば炊飯器、冷蔵庫、洗濯機などと同じ電気製品と同じレベルになる。カメラがデジカメとなり、電気やコンピュータなどの企業が参入してきたように、10年後には自動車という産業体系は大幅にその枠組みを変えていることが予想される。ビッグスリーや日本車が独占していた自動車産業には世界中で、素人の参入が始まり、なかでも中国(BYD)や米国のシリコンバレーでは、鉄とガソリンから離れた車作りスモール・ハンドレッドと言われているベンチャーが沸き起こっている。


  ガソリン車はほぼ3万の部品点数から構成されているし、ハイブリッド車では4万点数である。これに対して電気自動車はその5分の1の6000点前後である。そうなると、現在の自動車産業のすそ野に広がる産業群は簡単にいうと4分の3は不要となってしまう。鉄鋼産業ですら、その存立に赤信号がつくかもしれない。何故ならば、電気自動車の性能向上にはガソリン車以上に車体重量軽減を欠かすことができないからだ。18世紀の産業革命以来の製造業の変革が迫っているように思える。
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