大統領来日

悩める両トップへの提案

 テキサスでの銃乱射事件で来日が13日になったが、APECに行く前に日米両首脳の会談が今週末に東京で行われる。日本のメディアでは日米間に亀裂などと書かれているが、日本にとっての米国の存在と、米国にとっての日本の存在を比べれば、8対2ぐらいの感じであるから、会談は両国のこれまでの関係を再確認する程度であろう。
APEC:11月13-14日シンガポール


 変革を掲げて政権交代を果たした両首脳にとって共通する問題は、それぞれに前政権が残した莫大な負に遺産をどのように処理するかである。バージニア州などの最近の知事選挙で共和党に敗れたオバマ大統領に対して、「変革の動きが遅い」などと記事にされている。負の遺産で大きなことは三つあり、イラク・アフガン戦争の処理、経済財政の立て直し、医療保険制の改革である。難問はテロとの戦いであるが、大統領の決断は曖昧で、このままではベトナムの二の舞が予想される。タリバンの穏健派と手を組んで、テロ組織を封じ込める戦略を検討する時期に来ている。


 政権発足2カ月を迎えるわが政権では、予算、郵政、経済財政、財源、沖縄基地、アフガン、福祉介護などを巡って、閣内不統一と批判されているが、自民党政権では政策の決定段階では情報が外に出なかっただけで、むしろ新政権ではプロセスが外に見えて、何か新鮮で分かりやすいと思う人も多い。


 米国と同様に自民党政権が残した負の遺産、すなわち巨額財政赤字、農林業の疲弊、貧困層の増大、格差の拡大、官僚システムの腐敗などの克服は一朝には解決できるはずもない。どこから手をつければいいのかすら定かではない。まずはロードマップを作成して、短期的および長期的に、5年ごとに30年先までを見通した計画を作成し、どのような手順で解決していくのかフローチャートを提示することである。さしあたり、年内にするべきことは、デフレ脱出を込めた短期的な景気浮揚策で、これに失敗すると、来年の参議院選挙では敗北することが見えている。


 両首脳の会談ではあまり短期的な合意を期待する必要はない。地政学的に環太平洋地域で、日米がどのように強固な連携を構築して、東アジアの経済と政治の安定に貢献する方策を打ち出せればよい。
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