新しい日米関係

大統領演説と日米安保
 ベルリンの壁が崩壊してから20年たち、20世紀後半の米ソ対立という国際的な力の均衡が大きく変化してきた。この4月にプラハで行ったオバマ大統領の核廃絶演説は、その裏に隠されている核兵器の更新など米国の軍需産業の存在を踏まえても、その顕著な現れであり、前任者にはできなかったことである。これ一発でノーベル平和賞受賞とはいささか腑に落ちないが、米国のこの宣言は人類の進歩への第一歩であることも確かである。

  欧州ではNATO軍とワルシャワ条約機構軍で均衡していたし、東アジアでは中国、ソ連北朝鮮という強大な軍事的圧力に対して、米国が後押しした日本と韓国の防衛網が築かれていた。この冷戦構造が崩壊して、東アジアでは北朝鮮だけが、ならず者みたいに緊張感を高めている存在となっているのが現状の軍事的均衡の配置図である。


 沖縄の基地問題やインド洋での海上給油問題での日米間の意見の対立を強調する考え方は、20世紀の冷戦構造時代の考え方から脱することのできない自民党政権時代の意識を持ち続けている政治家や評論家の発想であろう。新しい時代、変革した政権時代に相応しい日米安保体制を模索していく時が来ている。日本全国に85か所ある米軍基地の再編も重要である。



 日米は独立国として対等な関係にあることは言うまでもない。軍事力や経済力が対等ということではなく、その意味するところは、これまでの自民党政権の時のように、米国から一方的な要求をそのまま受け入れるということではない。新政権の対米外交を批判する勢力は、いつまでも冷戦時代の意識から抜け出せない、対米コンプレックス感を保持しているように思える。21世紀の国際バランス感覚に富んだ新しい関係を構築する時に来ている。
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