普天間問題

沖縄基地問題について
   敗戦から65年、冷戦終結から20年たったが、国内の米軍基地面積は東京23区の2倍弱、そのうち7割は沖縄にあることも、そのまま変わってはいない。ベルリンの壁が崩壊してから20年であるが、その間、ドイツ国内の米軍基地が3割閉鎖している。対外的な有事に備えることと国内の治安維持は国が国として成り立つために必要最低限の条件である。これに対して内閣が責任を果たさなければならないことは言うまでもない。

 

 13年前に普天間基地の移設を2014年までに完了することを米国と合意して、4年前に移転先も決定した。この約束を反故にしたのだから、これまでとは勝手が違うと米国が戸惑うのも当然である。その米国だって政権が交替してから、対外的な合意を覆す事をしてきている。例えば前政権時代に約束した東欧圏のMDシステム中止などがある。政権交代と言うのはそういうことを言うので、前政権と同じなら、交代の意味はない。


  それにしても、強大な仮想敵国のあった冷戦時代とは全く地政学的な構図は変化している東アジア地域で、前政権は基地の移転というよりも廃止という問題の取り上げ方をすべきであった。中国は米国にとって、日本よりも経済的に重要な国となってきているし、ロシアも米国にとって良好なパートナーに変身している。残りは北朝鮮のならず者であるが、こことも最近、米朝の2国間対話を開始している。



  基地問題では新聞もテレビも日米関係が崩壊するなどと、大袈裟に伝えられているし、自民党はここぞとばかり、これまでの失政を棚に上げて攻撃している。朝のワイドショーでミノとかいう高名な司会者まで、ワシントン支局の記者に対して「米国の国民はどのように思っているか」と質問したことには仰天した。日本のこと、沖縄の基地のことなど米国のメデイアが報道することは殆どない。支局の人も答えに窮して「今のところ何もない」と言っていた。



  米軍基地は巨大な産業であり、毎年5000億円もの予算が日本から拠出されている。米国と日本の軍事産業にとっても、「いざ有事に備える」ということを宣伝することで巨大なビジネスを生み出すことができる。普天間移設も巨額な利権がらみであることは容易に想定できる。だから、これまでに基地を縮小することなどは自民党政権にとっては禁句だった。

  確かに平和と安全を維持するためには、コストを支払わなければならないが、それがどれくらいが適当であるか答えはない。仕分け人なら「一体どれくらいカネを掛けたら満足できるのでしょうか」と質問したくなるであろう。
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