映画資本主義

資本主義とは何か
   マイケル・ムーア監督の映画「資本主義Capitalism: A Love Story」が公開されている。他の作品と同じように、痛烈なユーモアで金融資本主義を批判している。キリストの言葉が投資のアドバイスへと変わっていくことを描写しながら、米国民は洗脳されて、資本主義は「神の定めに釣り合うもの」だと信じていると断言している。
  

  16世紀の初頭に株式会社として誕生したオランダの東インド会社が資本主義の始めと言われている。それ以来、人類はいくたびかバブル経済の崩壊を経験してきた。18世紀の産業革命以降の産業資本主義も1929年の大恐慌で崩壊したが、第二次大戦後の好景気で成長の軌道を走りだした。


   共和党政権の1980年代レーガン大統領と2000年代ブッシュ大統領の下で、財務長官はウォール街出身者で占められ、国を動かしているのはウォール街という状況になり、ITバブルに続いて、住宅バブルを生み出し、金融資本主義のなすがままとなって行った。結果は1%の富裕層が90%の金融資産を保有するという巨大格差社会へと向かった。

  「これがウォール街が行った狂気のカジノだ。彼らが私たちの家に賭けることを、私たちが許してしまったのだ」とか「資本主義は悪であり、悪を規制することはできない。排除するだけだ。そしてすべての人々にためになり、かつ民主的であるものに置き換えなければならない」というムーア監督の熱弁でこの映画は終わる。

  資本主義は悪の権化としてこの映画では描かれているが、本来資本主義の原点は、マックス・ウエーバーの言うとおり、人間のもつ勤勉さ、努力、工夫、健全なる精神に支えられた産業形成そのものだったはずだ。それにより生み出された価値は未来への共通の遺産として、人類の幸福の基礎となるものだ。今年は資本主義の自由と社会主義の規制との兼ね合いをどの辺に求めるかの模索が、G8やG20で続けられるであろう。
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