親方日の丸体質

親方日の丸
  雇用主が国や自治体の場合、決して倒産しないことに甘えて、経営に厳しさがないことを非難して言う場合に使う言葉と辞書にある。国営企業として歴代の社長や重役陣に霞が関からの官僚が座り続けてきたつけが経営破綻という結果を招いた。1987年に民営化したとはいえ、長年の染みついた社風は改善されるどころか、役所と企業の悪いところだけが残ってしまったと山崎豊子氏が小説「沈まぬ太陽」に指摘している通りである。

  

  1985年のジャンボ機墜事件後、社長に就任したカネボウの会長は、ごみ溜めみたいなところに単身乗り込んでみたものの、あまりにも多くの汚物に押し流されて僅か1年半で辞職させられてしまった。今回、崖っ淵にある日航に乗り込むのは京セラの会長であるが、墜落寸前の機体を立て直すことは、前と同じく容易なことではない。しかし政府が救済に乗り出しているから、誰もがやはり親方日の丸的発想で立て直しに成功すると思っている。


  すでにあまい再建計画が発表されているが、この計画を実施していく人は、これまでに経営破綻にまで社業を追い込んできた連中である。新会長のまずやるべき仕事は、社員が働きやすい企業にする前に、現在の部長以上の首を挿げ替えることであろう。どっぷりと旧体制の仕事に慣れてきた経営幹部の意識は、破綻寸前になってもそう簡単には変わらない。


  民主党政権も、霞が関の局長以上の人事を白紙に戻すと最初は威勢が良かったが、結局は旧体制のまま自民党政権から引き継ぎ、何をやってもうまくいかない状態になってしまった。人の意識の変革はできないから、人事異動する以外には、親方日の丸体質から脱却することはできないであろう。当然のことであるが、組織の長は人事権を持たなければ何もできない。
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