施政方針演説

首相の罠に嵌った人々
   27日のオバマ大統領の演説に続き、鳩山首相の施政方針演説が実施された。大統領の演説は就任後1年過ぎた時点でのもので、就任当初の理想論に溢れた内容から若干後退して、支持率の低下を食い止めるための国内問題への施策がちりばめられたものと言う印象である。これに対して首相の演説は、「いのちを守りたい」と言う冒頭の言葉に集約されているように、理念先行型でやや具体論に欠けているとの印象を与えた。

   

   これまでの自民党首相の演説は、各省庁からの官僚の寄せ集め文集であり、無味乾燥で話題になることもなかった。竹下首相のように、ページを飛ばして読んでも、誰も気がつかなかったことに象徴されている。脱官僚を掲げる民主党では、首相も自ら筆をとったと言うように、内容はともかく自分の言葉でしゃべったことは評価すべきことである。

   首相の施政方針演説などは、年頭の儀式みたいなもので、これまではブログなどでも話題にもならなかったが、今回はブログでもtwitterでも大騒ぎしているように、それだけ注目されたことを表している。いわく「高尚な話はボロボロになっている経済と財政を建て直してからにしてくれ」とか「日本語として理解できない。子ども手当がいのちを守るということ? バラマキ福祉を無理やりいのちでまとめただけだ」など悪評が多いようである。

   もともと首相の施政方針演説などはどうでもよい時間つぶしのものだったのだから、誰も批判もしなければ、評価もしなかったシロモノである。今回は新聞でもブログでも批判や評価のオンパレードである。これこそ首相が狙ったもので、首相のために何がしかの時間を費やした人々はまんまと首相の罠に嵌ったことを自覚すべきである。
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