経済学は無視できるか

乗数効果や消費性向
   ノーベル賞の中でも経済学賞は平和賞に次いで、価値の低いものとされているように、現実の政治で経済学を使った政策が幅を利かせることは少ない。また実際に起きた経済現象に対して後付けでその理由の説明にしか役に立たないのかもしれない。ちょうど大地震が起きてから、地震学者がしたり顔で、その発生のメカニズムを説明しているのに似ている。


   原理原則の国である米国では、経済学者が政権の中枢で用いられているが、日本では金融や財政を司っている政治家や官僚は経済学を勉強しないことを自慢にしている人が多い。彼らが頼りにしていることは、経験経済学とか台所経済学というようなレベルのことに思える。かくして、彼らから提案される政策は経済学の理屈に合わないものが多い。

   しかし財務大臣たるものは、少なくともマクロ経済学の基本的なことは理解しているべきである。別に側近に経済学者を置かなくとも、移動中にネットを覗けば、基本的なことを教えてくれる経済学者はいくらでもいる。ただし、テレビによく出てくる経済学者と称する評論家の話には眉に唾をつけて聞くべきであろう。

   国会の予算委員会で、質問者も答弁する方も、また聞いている委員たちも経済学の基本的な言葉の定義を理解しないまま、おかしなやり取りが行われている。例えば消費性向とか乗数効果など、数学を駆使する最先端の動的マクロ経済学とは全く異なり、初歩のマクロ経済学の教科書に出ている基本事項である。先に述べたように経済学など知らなくても、国の財政や金融政策は実施できるかもしれないが、教科書にあるような物ごとの基礎的なことぐらいは政治家は理解しておくべきであろう。
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