風を吹かす

検察の隠語「風を吹かす」
   検察からのリークなどはあり得ないと、マスコミは書きたてている。記者たちが苦労して集めた情報を基にして記事を作成しているからという。また、検察側でもマスコミの情報は検察が把握しているものを上回るものもあるなどと、検察の怠慢ぶりを自ら語っているものまである。元大阪高検の公安部長だった三井氏の書いているものに出てくる言葉が、タイトルの「風を吹かす」である。検察内部での隠語ではリークのことをこのように言うそうだ。マスコミを騒がせ、国民世論を味方につけて、容疑者を逮捕し起訴する頃には大悪人に仕立て上げることは、検察の常套手段とまで書いている。

   三井氏は30年間の検事生活で、組織内部の裏カネづくりを告発したが、口封じのために言いがかりみたいな公務員職権乱用罪で逮捕起訴された経験を持つ。検察庁の裏カネは年間6億円とも7億円ともいわれる調査活動費と言う名目で、法務省幹部が地方に出張した時の官官接待費、ゴルフ、飲食、マージャンなどの遊興費として、長年の慣行で認められてきた。


   2001年に告発したこの裏カネ問題は、税金の無駄遣いは言うまでもなく、検察が行った違法行為として、事実ならば悪を追及する検察が自ら手を汚していたという大スキャンダルのはずだった。微罪で逮捕された三井氏は口封じのための公訴権の乱用を武器として争ったが、有罪とされた。大阪高裁の判決では、検察の裏カネ作りは虚偽ではなく部分的には認定されている。


   現政権では検察での取り調べの可視化法案、検事総長人事を国会承認案件にするなど、検察に対する牽制球が放たれようとしている。これまでに隠してきた検察の恥部はもしも民間人が検事総長にでもなれば、明るみに出されてしまう。リークなどではなく、堂々と説明を果たす責任はむしろ検察側にあり、検察のいう説明責任と言う言葉をうのみして、そのまま報道するマスコミも安易にすぎると思う。
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