国民読書年

国民読書年
   今年は誰がどこで決めたのか分からないが、国民読書年というそうだ。これに伴う各種の行事が町の図書館などで企画されている。趣味や娯楽の多様化に従って、本を読まない世代は高齢者を中心として増加している。ある新聞の調査によれば、男女ともほぼ半数の人はこの1カ月に全く本を読んでいない。出版件数は増加傾向であるが、全体の売上高は減少傾向にあることが、その結果を示している。



   2009年の書籍と雑誌の推定販売額は前年比で4%減の1兆9350億円で、2兆円を下回ったのは1988年以来21年ぶりという。売上高の内訳は書籍が8500億円で、雑誌は1兆850億円だ。書籍では毎年10点近くミリオンセラーがあったが、昨年は村上春樹氏の「1Q84」(新潮社)と、出口宗和氏の「読めそうで読めない間違いやすい漢字」(二見書房)の2点にとどまった。


   雑誌は広告減少の影響で販売部数の落ち込みが過去最大となった。創刊されるものよりも廃刊される雑誌が多く、4年連続で休刊誌が創刊誌を上回った。身辺を見回しても、町の本屋さんはほとんど姿を消し、駅なかの大書店しか生き残らなくなってしまった。読書離れというよりか。知識産業における情報伝達手段の変化によるところが大きいのだと思う。

   世界有数の読書国として認められる国であるが、テレビやネットなど電子メディアの発達によって、情報伝達の流れは大きく変容している。書物に代わって、携帯電話やパソコンの画面から小説類が読める電子書籍が若い人を中心として普及し始めている。読書週間とか文字・活字文化の日とか、国民読書年とかお上が旗振りをしても、もはや紙というハードから電子というソフトへの転換は停めることはできない。
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