政治ショーを乗り切ったか

リコール公聴会
  家の前に積もった雪で通行人が滑って転んで怪我をした。その通行人はその家の主を除雪義務違反で訴えた。だから雪の降る前に融雪剤を購入して、雪が降りだしたら、散布しなければならない。訴訟社会である米国の現実である。また、何があっても「すいません」と言ったら、自分の非を認めたことになるから、絶対に「I’m sorry.」とは言うなともよく聞かされる。相手が巨大であればあるほど、訴える価値がある。
  

  すでに40年にもわたり、米国の社会で車を生産して販売してきた企業には、このようなことは当然に常識として備わっていたはずだ。しかしながら、ここまで問題を大きくしてしまった背景には、日本的な疑惑隠しや、クレームに対する日本的な安易な考え方が残っていた証拠であろう。

   米国のトヨタ車販売会社の社長が出席した米下院エネルギー・商業委員会の公聴会は委員たちの激しい質問が相次ぎ、電子制御システムの欠陥に対する対応の遅れについてのみ、開始から8時間後には「過ちを認め謝罪する」と発言させられた。最初の証言者となったテネシー州の女性は、愛車のレクサスが2006年、ブレーキが利かぬまま勝手に加速し、時速160 キロでの走行を余儀なくされた恐怖の状況を語った。電子系統の不具合をトヨタなどに訴えても相手にされず、「人命を無視している」と涙ながらに訴えた。
 
   たとえ、この話が作り話か、あるいは運転者の誤動作によるものとしても、発生した直後にまじめに、その原因を追及する態度をしていれば、問題を初期の段階で収めることができたと思われる。そのようなことはあり得ないとして、一蹴したことがすべての始まりだった。明日はいよいよ社長が議会に登場する。米国にはこの種の対応をこなすコンサルタントもいるから、社長は十分にレハーサルをして公聴会に臨むであろうから、この政治ショーを乗り切ることができるものと信じている。
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