論文盗作から見えてくること

サンマ論文
   単なる論文盗用の話と思っていたが、農林水産省を起点とした仕事の丸投げの問題を含んでいた。「サンマ調査」を天下り団体の間で次々と丸投げして、最後はある大学院生がアルバイトでレポートを作成した。このプロセス自体は霞が関の仕事ではよくあることで、珍しいことではない。

   「サンマ論文」製作のために水産庁が水産総合研究所センターへ1900万円で委託し、さらに水産資源保護協会に375万円で委託した。協会はその仕事を東京海洋大学のある教授に委託した。その教授は論文制作を或る大学院生にやらせたという流れである。学生は他人の論文をコピーして論文の体裁を整えた。学生が懐にしたカネがいくらかは分からないが、多くても数万円程度であろう。

   この大学の教授が北日本漁業経済学会の学会誌である「北日本漁業」に、この論文を投稿したことで、論文盗作問題となった。学会誌の論文は審査があるが、この審査を潜り抜けて昨年4月号に掲載されてしまった。盗作と気がついた学会は、その論文を取り消したことは当然である。

   この一連の流れを見て、税金の無駄遣いだけではなく、国立大学でも、かなりいい加減なことが行われている実態が浮かび上がってくる。以下、箇条書きにまとめる。

1.まずは霞が関のお役所仕事で、予算があるから仕事を生み出したか、あるいは予算獲得のために、サンマ調査、イワシ調査の類のどうでもよい案件を作り出したこと。

2.調査の仕事は、関係する天下り団体へ予算をつけて丸投げすること。法人を通るたびにカネを天引きすることが、その法人の重要な仕事になっていること。

3.最後は関連する大学へその仕事が回り、受けた先生方はさらに、それをアルバイトとして学生に割り振る。先生方も何がしかのカネを受け取り、学生へ回るカネはほんの僅かとなる。

4.学生が作成した論文に対して、先生はチェックもせずに、依頼もとへ提出し、仕事が流れてきた逆順で、農水省の担当に提出される。もとより、予算を獲得して天下り団体の仕事を作ることが目的であるから、その論文は誰にも読まれず役所の棚に置かれたままとなり、いずれは焼却される運命にある。

5.悪質な大学の先生は、この論文を自分たちの業績と勘違いして学会へ発表する。税金という予算を利用して霞が関天下り団体、大学も含めて、かなり悪質な仕事が行われている実態が暴露された。このことは先日10チャンネルで一部放映された。
http://rose.hucc.hokudai.ac.jp/~h14306/
http://www.kaiyodai.ac.jp/
http://iiaoki.jugem.jp/