日本の弱点

いつの間に抜かれたか
    韓国経済は昨年、年率4%のGDP伸び率を達成したようだ。半導体だけでなく薄型テレビをはじめとする電機製品でも日本のソニーパナソニックを上回り始めた。五輪前のサッカーでも韓国に完敗したし、バンクーバーでは日本の銀銅メダル6個に対して、金メダル6個を含む計14個のメダルを獲得し、参加国中5番目という好成績を残した。ゴルフでも韓国パワーの前に屈してしまうことも多い。
    

    現代(ヒュンダイ)の車は米国のハイウエーを走行中にハンドルが抜けたなどと笑い話をしていたのは25年前のことである。いまや日本車のクレーム問題をしり目に、米国の自動車市場で売り上げを伸ばしている。韓国の工業製品の背景には、日本の工作機械、検査装置、さまざまな部品供給などがあるが、研究開発や市場開発でも日本の企業を凌駕し始めている。

    原発技術では日本が世界のトップと思っていたが、アラブ首長国連邦UAEアブダビ原子力発電プロジェクトを日本、フランスを向こうに回して韓国企業が落札した。韓国内で原子力発電所を稼働させていても、技術的に日仏に優っているわけでもなく、海外での原子力プラントの実績もなかった。大統領が直接セールスしたとか、価格面でダンピングをしたという面もあるが、日本が敗北した理由は別にあった。

    計画、設計、製造、運転、管理、保守などあらゆる原発関連の個々の技術では日本の方が上であるが、全体を一つのシステムとしてまとめて効率よく組み合わせていくことで、韓国連合の方が優っていたのだと思う。韓国政府は海外での原発建設・運営プロジェクトを成長戦略の柱として、全面的な支援を行っていた。アブダビの入札でも、政府、メーカー、韓国電力公社などを中心とした連合を作っていた。これに対して、日本の応対は部門ごとに統制がとれず、全体の連携に齟齬があったようだ。

    原子力発電だけではなく、これから始まる新幹線プロジェクト、水処理プロジェクト、環境エネルギープロジェクトなどでも、日本国内のものなら、個々の部門の連携などに気を取られなくてもよいが、海外のプロジェクトでは、一つのコンソーシアムとしての連携が重要となる。キーとなる企業が全体計画を管理していくシステムを構築していかないと、これからもアブダビのプロジェクトの二の舞を踏むことになる。続いてベトナムでもロシアに敗れて、漸く日本もこれに気付き、官民挙げて、新しい機構が動き出した。
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