海洋資源

クジラ、イルカ、マグロ
    昨年から各地の映画祭で上映されていた映画「The Cove」がアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した。和歌山県太地町で昔から行われている伝統的なイルカ漁の隠し撮りと言うから、日本にとってはあまり気持ちのよいものではない。年間2万頭を超えるイルカが捕獲され、一部は生け捕りにされて水族館に売られ、大多数は鯨肉として売られている。



NHKニュース「中東のカタールで開かれているワシントン条約の締約国会議の委員会で、大西洋のクロマグロの国際取引を禁止するよう求めるモナコの提案と、EU=ヨーロッパ連合が取引の禁止については一定の猶予期間を設けたうえで、あらためて検討するという新たな提案についての審議が行われましたが、いずれも日本などの反対で提案は否決されました。」*



   映画の公式サイトでは、前半はイルカと人間とのコミュニケーションであり、後半には太地での虐殺シーンが描かれている内容である。受賞した監督の言葉で「日本人はイルカを食うべきではない」などと語っている所を見ると、映画は明らかにグリーンピースシーシェパードなどという反捕鯨とつながっている。

   米国では1964年に放映されたわんぱくフリッパーの影響でイルカ人気が高い。1966年には日本でも放映されているし、各地での水族館でもイルカショーも子どもたちの人気も高い。もともと江戸時代に日本近海で捕鯨をしていたのは米国であったし、1853年にペリー艦隊が浦賀に来たのもそれを支援するためだった。さらには年間4000万頭の牛を屠殺しているアメリカ人が何を言うかとの反論もある。

    自然とか環境保護と言う思想の背景には、過去において自然を破壊して、原住民を追い払い、アフリカから大量の奴隷を買い入れてきた米国の都合のよい倫理もうかがえる。さらにはベトナム戦争という忌まわしい反省から逃れるために、愛と平和を訴え、自然への回帰などを唱えた運動ともつながって来る。今になって、このことをいくら責めても、クジラ、イルカ問題への解決の道筋は見えてはこない。日本としては、あえて諸外国に外交カードを与えるようなやり方は得策ではない。
映画公式サイト
http://www.thecovemovie.com/
http://iiaoki.jugem.jp/