最高司令官の資質

統領運
   人はそれぞれに様々な天分や才能を秘めている。生まれた時から持っているものを先天的というが、その中に史記に出てくる統領運がある。この天分を有する者は、自我が強く、生命力も旺盛で、ガキ大将的な陽性で楽天的な性格をもつようだ。諺にある「栴檀(センダン)は双葉より芳し」などと例えられている。

   

   この統領運にも上中下のランクがあり、この才能に後天的な鍛錬が加わって、上位の者は最高司令官にも昇り詰めていく。問題が生じるのは、この統領運に恵まれていない人物が、人を指導したり統括したりする地位に立たされた時である。太平洋戦争の戦史を紐解くと、日本軍にはこのような様々な悲劇があったことが理解される。
 
   天分に恵まれていない隊長が、いくら号令を掛けても部下は思いのままには行動しないから、やがては全滅の運命が待っている。そのような人がトコロテン人事で師団長になるとその悲劇は留まるところを知らない。


   政権就任半年を迎えて首相は「これからはコンダクターでありながら、自分でもしっかりとした音色が出るプレーヤーも目指していきたい。即決しなければならない時には自分の意思を強く示していきたい」と決意を示した。このようなことを発言しなければならないところに、最高司令官としての悲劇がないことを祈りたい。
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