日本の財政

増税論議
   ギリシャ財政破綻を引き合いに、ギリシャ以上の財政赤字を抱えている日本の問題が論議されるようになってきた。ギリシャでの問題は三つあり、一つは公務員の数と優遇、二つ目は医者や弁護士などの高額所得者の脱税、三つ目は30%にもなる地下経済の存在と言われている。これに対して、日本の場合は、官僚の優遇は同じであるが、二つ目は公共工事の増大、三つ目は社会保障費の拡大である。

   ギリシャ国債金利は現在7.4%に対して、日本は1.4%であるから、日本の財政危機が差し迫った問題ではない。しかし、1年前のギリシャ金利は1.5%であったのだから、日本でもいつギリシャ状態になるか分からない。1.4%の金利でも、国債の利払いは年10兆円であるが、金利が上昇してギリシャ状態になれば、利払いは50兆円にもなる。こうなると、日銀は印刷機をフル回転させるから、超インフレに突入する。

   ギリシャ国民はユーロ圏に属しているから、破産することはないとあまり切実感はないが、日本で同じことが起きたら、そうはいかない。この問題は沖縄基地問題よりも、全国民への直接的な影響という観点では、はるかに大きなことである。何よりも重要なことは、財政赤字の増加率をゼロ、あるいはマイナスにするための方策である。

   業務仕分けで、不要不急の無駄な法人を潰すことも大事であるが、それだけではなく、財務大臣増税に言及し始めたことも評価しなければならない。増税によって、不況になるとか、選挙に負けると言うのは、現時点では否定的な見解が多くなってきている。緊縮財政でも景気は回復することができるし、増税によって財政危機が緩和され、長期的な見通しが改善されると投資は回復してくる可能性がある。

  ケインズ経済学には書かれていない事だ。選挙についても、最近の世論調査では、6割の人が消費税率引き上げもやむを得ない回答としている。ばらまき福祉よりも経済の回復には有効なのかもしれない。日本経済は財政立て直しとともに正念場にきている。過去のいきさつはさておき、各党、国民全員参加でこの問題に向かうべき時が来ている。
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