法と市民感情

検察審査会

  法治国家では法律にない事では何人も何ら罰則は受けない。法に照らして犯罪構成要件を満たさなければ、起訴されることはない。これを判断するのが法律のプロである検察庁だ。ただし、検事も人間であるから、同僚や官僚に対する法の適用には遠慮が入りかねない。検察がするべき捜査を怠った場合がある。そのための歯止めとして、検察審査会制度がある。  


地方裁判所とその支部のある地域に設置されているから、全国では170ほど存在している。審査員は無作為で選ばれた有権者から11名で構成されている。法の素人審査員だから、実態は役人から提示された説明を聞くだけで、審査などとは言えない。結論は法的根拠というよりは、マスコミや世論に従うだけだ。  

審査といっても、法律については全くのアマであるから、プロである検察の下した結論を覆す法律的判断はできるはずがないし、時間的な余裕もない。おおむね、審査は裁判所の担当者が用意した資料を説明することに基づいて行われる。議論は法律論争などできないから、世間一般の世論、すなわち、マスコミ報道などで書きたてられている世論にしたがって反応することになる。


  検察審査会への告発は、普通は検察が捜査を怠って不起訴にしたときには意味があるが、東京地検がほぼ1年にわたって捜査をした案件を素人が覆すことはあり得ない。もしも審査会が起訴相当と判断しても、これを受けた検察が、やはりそうでしたではプロの名が廃る。多大な時間と人を使って捜査したが、検察庁が不起訴とした犯罪を、法の素人審査会が起訴して有罪とすることができるのなら、初めから検察庁は不要だったとなる。
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