暗号技術

暗号の2010年問題
  現在使われている暗号技術は,暗号鍵が十分長いこと、解読の近道がないことによって、現実的な時間では解けないことから安全性が確保されている。暗号の解読にかかる時間は,コンピュータの性能向上によって短くなって来るし、また,解読技術の進歩は近道を容易に見つけるかもしれない。そこで、米国政府の暗号技術を決めているDC郊外にある国立標準技術研究所(NIST)が、現在の暗号技術の使用を2010年に一部停止する方針を発表している。使用停止になる暗号技術は「共通鍵暗号方式の鍵の長さに換算して,80ビット以下の強度しかない暗号技術」というものである。
 
   これらの暗号技術は2010年までに、より安全な暗号技術に切り替えることになっている。 米国政府がこれらの暗号技術の使用を中止したからといって,個人や企業も同じことが強制されるわけではない。しかし、暗号技術を弱いまま放っておくと,深刻なトラブルが発生する恐れがある。WebアクセスやVPN通信の中身が解読されたり,サーバーに不正アクセスされたりするという危険性が存在する。

  しかしながら、暗号技術を安全なものに切り替えるのは,それほど簡単なことではない。過去に決まった通信プロトコルには,利用可能な暗号技術が仕様として決められているものが多い。このようなプロトコルの場合,あるソフト製品で新しい暗号技術を追加しても,ほかの製品と通信できるとは限らない。ほとんどの通信相手が新しい暗号技術を使えるようにならない限り,セキュリティに弱い暗号技術を使い続けなければならないだろう。

   電子署名や暗号化を施して保存してある文書ファイルについては、放っておくと,知らない間に読まれたり文書を改ざんされたりするかもしれない。安全性を維持するには,新たな暗号技術を使って暗号化し直し、署名し直す必要があり,それには大変な時間と手間がかかる。今後、ユーザーは安全な暗号技術への移行を考えていかなければならないが、個人では難しい。せいぜい、市販のソフトをこまめに導入するしかない。
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