もんじゅ運転

電力事情
  1995年12月に事故で運転停止した敦賀市高速増殖炉もんじゅ」の運転が再開された。この技術が完成すれば、核燃料サイクルができあがり、将来的にはウラン資源が枯渇しても、半永久的にエネルギーを自給することが可能な夢の技術である。それだけに、越えなければならないハードルは高く、これまでにも英国や仏国などで開発を始めたが、いずれも撤退しているので、今回の運転再開は世界中から注目されている。使用した燃料以上の燃料を生み出す魔法の原子炉には違いないが、課題は多い。
  

  国家プロジェクトとして、すでに1兆円近いカネが投じられているので、再開したからには、技術の完成にはヒトとカネに対して相当の覚悟を要する。事業仕分けにかけたら、どうして日本がこのような開発に邁進する必要があるのかと問われるであろう。このプロセスで、最後に残る高レベル放射性廃棄物の処分についても、方法や場所は未知数である。

  現在、日本には54基の通常の原発があり、総発電量の30%を占めている。この比率をどこまで高めるのか議論が行われている。太陽、風力などの自然エネルギーに比べて、原発の運転コストは100倍であり、その上に細心の注意を払っても「危険なプロセス」であることを忘れてはならない。

  電気の使用にはピークがあり、電力会社はこれを予測して電力供給体制を構築している。必要な所に過不足なく供給するためには、火力、水力、原発、自然などから得られた電力を貯める超大型蓄電池の開発が必要である。将来、各家庭の電気自動車の電池なども含めて、得られた電力の有効利用するためのスマートグリッドの整備も重要だ。もんじゅ再開に当たり、以上のようなことを思った。
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