アイパッド

革新的情報端末

  シュンペーターは企業家の革新といい、ケインズは需要創出こそが不況脱出の鍵と言ったが、これを合わせると、需要創出型のイノベーションとなる。アップル社の新型情報端末機アイパッドが日本でも発売されて話題となっている。これこそシュンペーターケインズを重ねた商品となるか注目されている。機能としてはノートパソコンと同じであるが、その使いやすさから、これまで情報機器とは無縁だった人々も巻き込んだと米国では言われている。

  


  1980年代の初めに、NYへ赴任してから最初の仕事が、住居を決めて子どもたちの現地校への入学手続きだった。地元の中学校を訪れて、最初に目にして驚いたのが、アップルが並んでいた教室だった。その頃、日本ではようやく1台200万円もする東芝ワープロが世に出始めていた。早速、近所のショップへ行きアップルとプリンターを購入した。確か両方で2000ドルほどしたと思う。当時。1ドルは250円だった。


  すでにアップルでは画面のアイコン操作で、パソコンを動かすことができていた。この技術を取り入れて、爆発的なヒットを飛ばしたのがマイクロソフトのOSで、1995年発売のウインドウズ95である。これを境に、アップル社はハード、ソフトともに落ち込んで言って、パソコンのシェアは全世界で5%程度にまでなった。創業者のジョッブス氏は病に冒され、再起不能かと思われていたが、21世紀になってから、アイポッド、アイホーンなどのヒット商品を立て続けに出して、今回のアイパッドとなった。


  ITでの御三家と言われているマイクロソフトMS、アップル、グーグルの株式時価総額で、ついにアップル社がMSを抜いたと報道されている。アイパッドがはたして、どの程度に革新的なのかはよくは分からないが、日本からは、このような商品が出てきていないことは確かなことである。デフレや不況を吹き飛ばす勢いのある商品の開発には、集団の力よりも、個人の独創力によるところが大きいことが証明されたようだ。
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