首相退任の意味するもの

首相辞任
   6月2日の首相のつぶやきは「本日、総理の職を辞する意思を表明しました。国民の皆さんの声がまっすぐ届く、クリーンな民主党に戻したいためです。これからは総理の立場を離れ、人間としてつぶやきたいと思っています。引き続きお付き合い下さい」となっている。トップに立つ者は何をしても常に批判に晒される。その批判は国民からのものといわれるが、国民の情報源は新聞とテレビが主である。だから国民目線というものはマスコミ目線ともいえる。マニフェストだって大新聞の調査ですら、80%まで達成しているのに、目玉が少しでも後退すると、まるで鬼の首でも取ったように大騒ぎする。

  揃って退任することになった幹事長と首相に対する攻撃は、民主党政権が誕生する前から始まっていた。二人ともマスコミが攻撃しやすい体質を備えていたのも事実である。幹事長は旧自民党以来の金権体質と怖い顔、首相は権謀術数という政治の修羅場に耐えないボンボン体質丸出しだったからだ。

   そのことは辞任の会見でもよく現れていて、言わないでもいい余計なことまで正直に口から出てしまう。「もう次の選挙には出馬しない」とまで言って政界から身を引く宣言までしてしまった。この言葉を聞いて、やはりこの人には政治家として何か欠けている資質があるのではないかと思った。また、このことから、この人は嘘をつけない人であることも証明している。母からの資金提供も全く知らなかったし、沖縄の基地負担軽減の思いもすべて本当だったと思う。

   これだけマスコミから叩かれても、依然として支持率が20%もあるということは、5人のうち1人は、ここで述べてきたことと同じことを感じている国民がいることを表している。それにしても、この二人に対する官僚、マスコミなど既得権益擁護派、あるいはアンシャンレジームからの足の引っ張りや攻撃は凄まじいものだった。天下り禁止では、自分の生活保障を失うのであるから、当然の反対運動であったし、新聞とテレビの連携を断たれることはマスコミの首根っこを抑えられることだったからだ。

   僅か8ヶ月だったが、自民党霞が関が築き上げてきた城壁の一角に穴をあけた功績は、民主党政権を誕生させた民意の勝ち取ったものである。再び、この国を元の状態へ戻してはならない。これから始まる第二期民主党政権を、8か月前に熱気で示した支持率75%を思い出して、今一度、この国を国民のための国民の政治という本来の道を歩み始めさせなければならない。本当のことを理解している有権者が20%もいることは、一筋の光明である。
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