内定取り消しは違法

就職内定取り消し訴訟
  昨年の就職活動で社会問題にまでなった、内定あるいは内々定取り消しについて、先日、福岡地方裁判所である判決が出た。それは、内々定取り消しについて、損害賠償をすべきという学生側には有利なものだった。賠償支払いを命じられたのは、福岡市内のある不動産会社である。「内々定取り消しは原告の期待を裏切るもので違法」と認定した。二人の原告に対する賠償額はそれぞれ100万円程度のものであるが、全国初の画期的な判決と思われる。

 


  学生側には有利な判決と思われるが、これで就職戦線が好転するとはいかないところに、この問題の難しさがある。何故ならば、企業側では、これまで柔軟に内定あるいは内々定を出して、予定よりも1.5倍程度の学生の囲い込みをしてきたが、この判決で、その枠を縮小しなければならない。学生も数社から内定あるいは内々定をもらって、通常10月に行われる内定式までに、会社見学や工場見学で、その企業の様子や将来性を勉強する機会があったが、当然にその機会が失われる。要するに、双方にとって選択の自由度が減ることになる。


  また、大学側でも、企業に対して推薦制度などを設けて、就職活動を支援してきたが、企業としては、内定を取り消したら大学との信頼関係に傷がつくから、という理由で推薦に対しては門戸が狭まる可能性がある。この判決は、大学、企業、学生にとってもそれぞれに微妙な問題を含んでいるもので、これで裁判が決着するのか、高裁へ送られるのか注目していきたい。
http://iiaoki.jugem.jp/