ピーターの法則

役人の自己増殖
   当たり前のことだが、どこの国でも役人は国民や企業が納める税金を使って、その国と国民のためになる仕事をしているはずである。その役人を監視して真っ当な仕事をしているかどうかをチェックする機能は民が選んだ政治家の仕事だ。不正があればそれを取り締まる機能は裁判所が持っている。そのトップの最高裁判所の判事は衆議院選挙の時に一応国民がチェックすることになっている。これぞ議会制民主主義の基本である三権分立である。
 
 
    形の上では間接的ではあるが、役人の仕事に対しても政治家の選挙を通して国民のチェックが働いているはずであるが、関係する役人と政治家が仲間内でことを運ぶと、国民は何も手を出すことができない。そして、役人となる人は中国の科挙制度や日本の公務員試験にみられるように頭がいいのではなくて、要領のいい人がなっている。だから、国民のためにならなくても、次々と仕事を創造していくことになり、これにより自己の勢力範囲を拡張して、ひいては自分の天下り先まで創作することができる。

   役人の数や組織はチェック機能が作用しないで黙っていると、不必要に自己組織化と自己増殖化していく。これはピーターの法則などと呼ばれている。弱者保護とか消費者保護とかは、誰も反対しにくいことである。頭のきく役人がここのところ目に付けたのがこれらテーマである。本来は従来業務の中で、しっかりと役所が管理していれば起こらなかったことであるが、いい加減なことをしていたために偽装問題が頻発してしまった。

  これをきっかけに、建築基準法改正、金融商品取引法貸金業法改正など規制緩和に逆行する規制強化の時代が始まり、このために正常な企業活動にまでブレーキを踏ませる恐れまで出てしまっている。その上に、極め付きは食品偽装問題では業界を取り仕切る消費者庁である。自分たちのミスで生じたことであるが、これを逆手にとって組織拡張にしてしまうところに、自己増殖本能が働いた。

   消費者庁以外にも、行政改革とは裏腹に、国土交通省には観光庁までを発足させる。これによりまたまた長官ポストと職員が増加することになる。組織を廃止するどころか、自己組織化となるネタを鵜の目鷹の目で探索している。これでは税金はいくら払っても追いつかない。
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