人民元切り上げ

投資資金の流入
  GDPで日本を抜いて第二の経済大国となる中国経済には、不動産バブルの崩壊という危惧が迫っている。もしもこれが起これば、ギリシャショックに続く中国ショックで世界経済は大混乱に襲われる。バブルの要因は、いずこも同じで、国際的な投資資金がある特定の国に流入して、経済を過熱させるものである。どうして中国かと言えば、人民元の切り上げを狙った投資資金である。

  6月24日からカナダのハンツビルで開かれるサミットを前にして、中国政府は切り上げを示唆して、国際協調を打ち出しているが、小幅な切り上げでは、さらにマネーの流入は防がない。


  過去を見れば、1970な代から80年代にかけては、資源と人口の豊かなブラジル、アルゼンチンなどが未来の国として、資金が集まり、夢が破れると資金が去り、アルゼンチンは債務不履行となった記憶はまだ新しい。いまだにその時にショックが残っている。1990年代後半のアジア通貨危機はタイや韓国などに流れた巨額の外貨資金がその原因であった。21世紀になってから、この資金は米国へ入り、不動産バブルを起こして、これが崩壊したのがリーマンショックである。

   このまま人民元を現状で留めておくと、投資マネーはますます中国に集まり、中国政府は為替に介入してドル買いが必要となる。国内でのマネーサプライが増えて、手っとり早い不動産市場に流れ込む。中国は外国の圧力に屈して人民元を切り上げることはないが、このまま放置しておいてよいとは思ってはいないであろう。米国からの人民元切り上げの動きは、30年前に日本に対して円切り上げを迫った時の状況に酷似している。6月24からカナダで開かれるG20サミットで、米中の攻防からは目が離せない。
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