サミットへの手土産

サミット2010
   6月25日からトロントの北220キロにある保養地ハンツビル(Huntsville)で開催される第36回G8に管首相は外交デビューを果たす。彼の外交姿勢は、就任演説でも示されているように、1967年に刊行された永井陽之助先生の「平和の代償」によるところが大きい。これによれば、「日本政治が民主的な安定性を保ち、左右両極の暴力主義に走らない明確な保障と安心感を与えること」という現実主義を基調とした外交こそ日本が指導力を発揮する近道と説いている。

   リーマンショック以来のサミットの主要課題は金融安定であり、今回も、議長国からは各国には財政再建の数値目標が求められている。新首相も手ぶらで参加するわけにもいかないから、打ち出したのが消費税のことのようだ。参院選を前にして、持ち出すべき話題ではないが、財務省官僚はギリシャ危機に便乗して、日本国債の危機を煽り財政再建路線を首相の頭に埋め込むことに成功した。

   しかしながら「このままではギリシャのように日本がなる」と首相が先頭に立って演説する姿は、余りにも経済や金融に通じていないことを表しているようにも見える。2010年度末には政府債務は970兆円になるので、確かに潜在的リスクは存在しているが、債務の95%が国内機関投資家の手の内にあるから、国際的なヘッジファンド国債先物売りを仕掛けても安定している。消費税問題は、導入時には衆議院選挙をすると言っているから、これを信じて、サミットへの現実外交への単なるお土産と理解しておきたい。
http://iiaoki.jugem.jp/