不思議な日銀の貸出制度

中央銀行の役割

  日銀は産業の成長分野を特定して投融資する金融機関に対して、政策金利で資金を貸し付けることを決めた。1つの機関の上限は1500億円で、総額3兆円になる。環境、医療、福祉、雇用支援、育児などの18の方向を例示している。誰もが何かおかしいと思うのは、特定の産業領域を限定して資金の貸付をするのは、通貨の番人が行う業務を越えているからだ。このような政策融資は、政府が行うべき仕事だからだ。

  


  日銀が政府と一体となって産業政策をするのなら、まさに二重行政であって、国にとってよいことはない。政府が成長戦略に添って、必要な債券を発行する場合に、この債券を買いオペの対象とするかどうかを考えるべき立場なのだ。今回の日銀の政策に対しては、政府としては、先走りの出すぎた行為と指摘するべきである。


  日銀がいくら貸出枠を広げても、実際に業務を行うのは各金融機関であり、損失に対して責任を負うのも各銀行であるから、リスクを伴う融資に対して二の足を踏む姿勢は変わらない。このような日銀の態度は、徒に混乱を生むだけで、成長戦略に何の足しにもならない。最近の日銀は政府に対して、ゴマをすっているとしか見えない。
http://iiaoki.jugem.jp/