選挙総括

参院選の結果総括
   予想通りに与党の敗北となった。苦戦は事前に織り込み済みとして、週明けの株式市場の反応は限定的である。敗因は明確で主として三つある。まずは、昨年春から手を変え品を変えて、既得権益集団による民主党への攻撃である。二つ目は財務官僚の意見をそのまま鵜呑みにした首相の増税発言であり、三つ目は民主党内部の権力抗争である。

   戦後60年にもわたり、日本のあらゆる政治と経済の構図を支配してきた自民党を中心とする支配層にとって、政権交代は許してはならないことだ。それが年金問題、医療などの福祉行政、経済不況をきっかけとして、昨年の衆議院選挙で国民は政権交代を選択した。これに対して、既得権益集団は、マスコミを始めあらゆる手段を使って民主党政権にわなを仕掛けてきた。特捜部を動かして政治とカネの問題を俎上に載せ、沖縄基地問題を難問の方向へと誘導していった。

   選挙敗北の記者会見で首相は「財務大臣を務めたので、日本をギリシャのようにしてはならないと思って、財政改革を言わなければならない」と発言していたように、消費税問題は明らかに、既得権益代表格である財務官僚から、仕掛けられたわなであった。この集団の報道機関である新聞もこれに乗って、まるで明日にでも消費税を上げるのではないかと書きまくった。

   選挙の名人と言われる幹事長の後釜に座った人は、与党の選挙を取り仕切るには余りにも未熟であった。新幹事長は反小沢の代表格であるため、オザワ流の選挙術の反対を取ろうとして、ことごとく失敗してしまった。このことは得票率と当選数の関係に如実に表れている。つまり、民主党の得票率は、比例区では35%で地方区では40%であるのに対して、自民党はそれぞれ30%と32%なのである。当選数は民主党43人に対して自民党は50人となった。要するに、票数はトップであるが、当選数ではそうはならなかった。

   俗にねじれ現象と言われているが、すべての法案が衆参両院をスルスル通りよりは、与党案が修正されて法案となることの方が、国民全体の利益にかなうことの方が多いとも考えられるから、これも別に悪いことではない。民主主義とは時間もカネもかかる制度なのだ。これが嫌なら、独裁政治しかない。
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