東京都のもう一つの躓き

中小企業支援

  新銀行東京日本振興銀行は大銀行の貸し渋りに苦しむ中小企業を支援する金融システムとして、鳴り物入りで登場したが、いずれも資金回収に苦しみ不良債権の山を築き、事業は破綻しかかっている。前者は東京都知事、後者は逮捕されたが、金融界の寵児と謳われた人物が関係していた。狙いはよかったが、大銀行が貸し出しを嫌がる相手であるから、相当な配慮が必要であったはずだ。いずれも資金供給だけを優先して、甘い審査で貸し出したつけが回ってしまった。

  


  これらに加えて、さらに、東京都が主導した社債担保証券CBOまでがデフォルト、すなわち債務不履行を起こしたと報じられている。企業が発行する社債特別目的会社SPCが買い取り、その社債を担保として新たに発行した証券のことを社債担保証券という。単独では社債を発行する力のない中小企業でも、無担保無保証で資本市場から資金を調達できるようにする東京都債券市場構想によるもので、いわば、東京都という絶対に潰れない親が保証するから、安心して投資してくれと言うものだ。


  証券の債務不履行は元利金が返済されないから、手形の不渡りと同じようなものである。1年前にもデフォルトを起こしているから、今回は2度目である。今回の分は東京都に加えて横浜市など6自治体が連携する広域型で、およそ1200社の中小企業の社債が担保となっている。被害総額は160億円に達する。


  7つもの自治体がお墨付きを与えているから、誰も信用するが、お役所仕事では、社債担保証券をできるだけ多く発行することが優先して、どうしても審査が甘くなる。要するに審査がいい加減で杜撰なのだ。この図式は新銀行東京でも同じことだった。オリンピック誘致、築地卸し売り市場の移転、新銀行東京社債担保証券などすべてのつけは、都民の肩にかかってくる。このようないい加減な知事を選出した都民の責任は重い。
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