記者は役人となった

消えたジャーナリスト
   ソ連邦の崩壊(1991年)後、反体制ジャーナリストの殺害は50人にもなっている。真犯人は1人もあがっていないと報道されているから、スターリン時代を思い起こさせる暗い恐ろしい話である。2002年のモスクワ劇場占拠事件、2004年のベスラン学校占拠事件も、チェチェン人の起こしたテロ事件ではなく、FSB(連邦保安局=旧KGB)が企画した謀略ではないかとも疑われている。


   16世紀に強権政治を敷いたイワン雷帝(映画1612)のような指導者をロシア国民は待望しているみたいだ。「カラマーゾフの兄弟」の新訳を出した東京外語大学の亀山学長は「何かで確りと囲まれるのが好きなのがロシアの国民性だ」と述べている。ソ連時代は共産党という枠組みであったが、現在に当てはめると、強いリーダーに支配された「新ロシア帝国」という枠組みであろうか。

   最新の教科書「新ロシア史」によれば、第二次大戦後、国民に誇りを与えたスターリンをたたえ、90年前後のソ連崩壊を暗黒の時代としている。現在は、外国からの干渉を排除して、自由と経済的繁栄を取り戻した主権民主主義の時代としている。民主主義の秩序維持のためには、言論統制や反対者の弾圧も正当化されるというのであろう。


   このように報道統制が進むロシアで「ニュースは政権のPRと化した」とか、「政府高官は上司で、記者自身はその配下だ」などと、メディアの現状を厳しく批判するテレビ記者が現れた。報道の自由を巡る論議を巻き起こしている。国営テレビ「チャンネル1」キャスターのレオニド・パルフョノフ氏(50)だ。今後、彼の言論が維持され、また当然、彼の生命が危機に晒されないようにすることがロシアの国としての責務であろう。


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