検察審査会の起訴

空前絶後の冤罪事件の可能性
  無罪が確実とはいえ、検察官役の指定弁護士は検察審査会の議決に従って、早く起訴するべきだ。検察審査会の2回目の起訴相当議決は9月で、指定弁護士が決まったのは10月だから、すでに3カ月近く経つ。もともと東京地検特捜部が2年にわたって調べ続けたが、起訴できなかった案件だ。検察の見立ては「ゼネコンからの裏金で不動産購入」だったが、もはや、これは崩れてしまっている。

   逮捕されて起訴された二人の秘書についても、大久保被告の供述調書の証拠申請を検察が作られたものとして却下したり、もう一人の衆院議員である石川被告の再聴取時の恫喝録音が暴露されてしまった。小沢氏の強制起訴は、この二人の供述調書が前提だから、2人の公判が成り立たなければ、小沢の起訴は最高裁判例にある通り「有罪判決を期待しうる合理的根拠が客観的に欠如している」ことになる。


   検察審査会は1948年にGHQが検察を牽制するための制度としてできた。だから「公訴権の実行に関し、民意を反映させてその適正化を図る」と第1条に記されている通り、審査会が対決すべき相手は個人ではなく検察そのものなのだ。審査会は検察の補助役ではないのだ。国民の7割は、マスコミ報道を信じて、田中角栄氏に連なる、あの顔だから悪いことをしているに違いないと思っている。当の角栄氏は裁判途中であの世に行ったから、有罪の判決が出たわけではない。これも誤解されている。


   さて、特捜部は振り上げた大ナタであったが、1億円裏金疑惑はガセネタであることが分かり、僅かに取引の記載ミスが虚偽記載の重大な疑惑として秘書を逮捕した。この不動産取引に関する記載のずれは、専門家の間では実際の支払いの関係で、常識的に行われていることで珍しいことではないと言う。与党の大物幹事長を相手にして、これだけの事件を見立てて、それが虚構と判明すれば、検察の正義はまたまた失墜して、トップのクビが飛ぶことになる。さらに、国家賠償請求訴訟を起こされたら、国はどのように賠償することになるのだろうか。その時に、当の本人が首相となっていれば、おかしなことになる。