地盤が流れる

液状化現象
  首都圏での物理的な被害は余りないと思っていたが、幕張や浦安の湾岸地域での液状化がひどくて、浦安の高層アパートでは未だに断水している所が5000世帯という。ディズニーランドTDL&TDSは春休みを控えて再開のめどすらたっていないと言う。千葉県の浦安市では住宅地開発のため、災害に備えて容量100トンの水タンクを地下に3つ備えていたが、液状化で壊滅した。


   バブル崩壊後、東京湾臨海部の埋め立て地の開発が進み、多くの高層アパートやオフイスビルが林立している。ビル建設時には液状化への備えはしてきているので、建物そのものへの被害は少ないが、上下水道、電線、道路、公園、駐車場などインフラ設備に対しては対策が甘く無力だった。ディズニーランドの駐車場は広範囲に液状化しており、駐車していた車が砂にはまって動けなくなった。付近では電柱が大きく傾き、学校の建物の周囲が50センチ程度沈下した。道路の中央が跳ね上がり、一方の側だけが大きく沈下している場所もある。


   東京のお台場から新木場周辺の埋め立て地では、30センチほどの噴砂や、マンホールの浮き上がりなど、激しい液状化が起きている。舗道の敷石が割れ、建物の塀も傾いた。ゆるやかな傾斜に従って、液状化した土壌が低い方に流れる側方流動が起きたようだ。土壌は通常は砂が互いに支え合い、その間を地下水が満たしているが、地震による振動で支え合いが壊れると、水の圧力が高まり土壌は泥水のように液状化する。


   地表面に弱い部分があると、泥水が噴き出し、水が乾いた後に大量の砂が残る。地盤は沈下したまま戻らない。埋め立て地は地盤がやわらかく、液状化しやすい。新潟地震阪神大震災でも大規模な液状化が起きたのと同じだ。震度がM5か6で、このような被害が起きたことは、埋め立て地の開発に対する多くの問題が課されたことになる。