物理化学の復習

放射線のこと
  大学の教養レベルでの学習でも、電磁気学の領域は単位がいろいろあり、先ずはそれから理解しなければならない。さらに、電気とか磁気とか言われても、目にすることができないので、その実体をつかむのがやっかいだ。昔から東北の地味な農業地帯であった福島は、全世界で最も有名な地名となってしまった。最も恐れられていた放射性物質が発する放射線と言う目に見えない電磁波のおかげである。


  電磁波は空間の電場と磁場の変化によって形成される波のことで、電界と磁界がお互いの電磁誘導によって交互に相手を発生させあうことで、空間そのものが振動する状態から生まれる。この電磁場の周期的な変動が周囲の空間に伝播していく。空間そのものがエネルギーをもって振動する現象だから、真空中でも伝わる。太陽光線も電磁波である。電磁波は波長の大きさで分類される。波長の長い方から短い方へ順に、電波、太陽光線、エックス線、ガンマ線などと呼ばれている。


  波長の長い電波は障害物があっても迂回して進行できるから、ラジオ、テレビ、携帯電話などで使われている。次に、太陽光線は物質に吸収されて体温を上げ、皮膚を焼くように、物質に相互作用を及ぼす。また、植物の光合成もその作用である。さらに短いエックス線は物質を透過するから、レントゲン写真やCTなどで使われている。エックス線以下の短い波長の電磁波は、生体の遺伝子に損傷を与えて、細胞を破壊して発がんさせる恐れがあるので、法律で被曝量が決められている。


  今やマスコミでも良く使われているベクレルやシーベルトという単位は、18世紀から19世紀にかけて、この領域で活躍した研究者の名前である。前者は放射線放射性物質が放出する量を表し、後者は放射線を受ける量で、グレイなどという単位が使われるが、人体への影響が重要なので、放射線の種類を加味して人体への被曝量を数値化した単位として使われている。