日常生活の放射線量

渡航制限の解除
  311直後に日本への渡航自粛や日本からの退避を勧告した国は60カ国に達していたが、米国やロシアなどでは、国外への避難勧告と渡航自粛を解除した。ロシアは放射線の専門家を東京の大使館に派遣して、1週間にわたり狸穴での測定をして「東京の放射線量はモスクワの半分」と結論している。
 

  これまでの自然放射線による年間被曝量は、もともと日本は世界平均の2.4ミリシーベルト(mS)と比べても低くて1.5mSだ。毎日発表されている新宿駅付近での値は1mSにも達していない。世界にはこの値が10mSという地域がブラジルやインドに存在している。これらの地域での健康調査が過去何回かWHOで行われているが、他の地域との有意差は認められていない。1960年代から70年代にかけて、米ソ冷戦時代に核実験が両国で1700回、世界全体では2200回も行われた。その時の値は、日本でも平常時の100倍から1000倍になっていた。現在もこの時の影響が残留している。


  放射線は、これ以外にも医療検査で被曝する。世界の平均は年間0.7mSであるが、日本人はこの3倍の2.2mSに達する。WHOからは「日本人は被曝好き」とからかわれている。医療には検査と治療があるが、このほとんどは検査である。特に、CTスキャンでは、1回が年換算で7mSになる。この他、バリウムを飲む消化管エックス線検査、胸部レントゲン検査などでも被曝する。


  健康に良いと言われているラドンラジウムを売り物にしている温泉も多いが、いずれもかなりの放射線を出している。食品、建材、塗料にも使われている。このように放射線は多くの分野で日常的に有効に利用されているが、いずれも健康に影響するものではない。しいて言えば、子どもたち医療検査では、注意した方がいいかもしれない。