あるアメリカ人の被災

ダニエル・カールさん
   面識はないがNHKの英語会話で、この人の話を聞いたことがある。ロス郊外の小学校で、可愛い日本人の女の子と友だちになったのが、日本への関心の初めだと言う。大学を出てから、英語教師補助制度で日本に来て、最初は奈良県に配属された。その後、帰国したが日本への興味が捨てがたく再度来日して、今度は山形県に行った。これが、彼の人生のすべてを決めた。

   ある時、来日した米国人の友人と話をしていた時に、「君の英語は少しおかしい」と言われて、ショックを受けてから、自分の英語はかなり日本語化されていて、英語教師としては失格だと思ってから、タレント活動に入ったという。山形県の女性と結婚してから、ますます山形弁に拍車がかかり、日本人以上に東北弁に精通していると言う。


  震災直後のアメリカのCNNワールドやABC、イギリスのBBCなどの海外メディアがやたら不安を煽って、東日本全滅とか、原発事故関連では花粉症対策用のマスク使用を放射能対策だなんて報じていたことに対して、彼はツイッターで正確な震災情報を英語ニュースとして流している。小さいときにロス地震を経験し、消防士だったオヤジからも地震のときの心構えを訓練されていた。だから、とにかく落ち着け、冷静になれとメッセージを英語で送り続けている。


  それだけでなく、被災地を巡り、救援物資を届け、避難所を訪問して支援活動をしている。石巻で英語を教えていたアメリカ人女性教師、陸前高田市でも男性教師を捜していたが、二人とも遺体で発見されたという。日本に来て美しい三陸地方で平和に英語教師をしていたが、津波に流された米国人に合掌したい。