なぜ福島第一だけか

福島第一だけどうして

  あす4月26日はチェルノブイリ原子力発電所事故から25年目を迎える。1986年4月26日1時23分にソビエト連邦(現:ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた原子力事故である。操業休止中に、冷却系統が停止した時の対策を実験中に、制御棒が落下して核反応が制御不能となり、反応炉が融解して爆発した。
  

  チェルノブイリと同じく、フクシマは原子力発電所としては、今や世界で最も有名な地名となってしまった。地震発生と同時に、制御棒が入り核反応は停止した事までは緊急時の作動として正常だった。80本ほど線路上にあった東北新幹線も脱線することなく正常に緊急停止した事と同じだ。


  地震津波に対して、位置的には同じ条件だった福島第二原発女川原発は何とか緊急電源が作動して、かろうじて冷却停止は免れている。東電社長は想定外の津波に襲われたことを強調しているが、これは責任回避論と思われる。堤防を越える波が来ても、あるいは堤防が破壊されても、電源を収容している建屋が海水の浸入を防げばいいのだった。この点、福島第一は、前から指摘されていた津波に対する防御が甘かった。つまり経営判断のミスなのだ。


  震度M9の強震に対して、原子炉本体は何とか持ちこたえたし、制御棒も作動して核反応は正常に停止した。惜しむらくは電源がすべて停止した事で、チェルノブイリ事故と同じレベル7となってしまった。電源の建屋を水に対して気密性の高いものにする対策は、高さ10メートルの防潮堤を作るよりはるかに安上がりのはずだ。


   1979年3月28日午前4時のスリーマイル島原発事故も、前記チェルノブイリ原発事故も、作業者の手違いやミスで引き起こされた事から考えると、福島原発地震という事で不可抗力のように見えるが、こうして見ると、やはり人災の様相は否定できない。社長、会長は職を辞してもこの責任論が付いて回るのは仕方がない。