原発以外の原子炉

原子力潜水艦の事故

   原子力の利用は爆弾と原発だけではなく、その他の兵器としても使われている。戦争の道具であるから、いつ破壊されるか分からない恐ろしさがある。原子力空母とは、軍用航空機を海上で運用することを目的に作られた航空母艦のうち、原子炉を搭載し核反応による反応熱を熱源とする機関を備える戦闘用の船である。全てが原子炉と蒸気タービンを備えた大型の艦船だ。

   1960年に進水したエンタープライズから、現在、米海軍に11隻、仏海軍に1隻で世界には12隻ある。旧ソ連も製造を計画していたが、ソ連崩壊後、計画はなくなった。中国海軍が建造中とのことである。今回の災害で、原子力空母ロナルド・リーガンが宮城沖で活躍した姿がTVに映し出されている。


   原子力潜水艦は米、露、英、仏、中国、インドの6ヶ国のみが保有している。各国の保有台数は秘密とされているが、米国100、ロシア50.英国、仏国、中国各5隻が確認されている。原潜については、これまでにも小説や映画でしばしば描かれている。また、事故も起きていて、最初は1963年に、アメリカの原潜スレシャー号が129人の乗員もろとも大西洋の5,000mの海底に沈んだ。なんらかの原因で原子炉が緊急停止し出力を失ったためといわれている。その2年後には原潜スコーピオン号が乗員99名とともに3,000mの海底に沈没している。もちろん核兵器と原子炉の膨大な核燃料を積んだままだ。


  ソ連の原潜も分かっているだけでも、1968年の事故を始めとして、少なくとも7件の事故を起こして海底に沈んでいる。記憶に新しいのは、ロシアになってからで、2000年8月12日に原潜クルスク号はコラ半島沖のバレンツ海に沈んだ。総員118名が今でも原子炉と共に100メートルの海底に沈んでいる。その他、廃艦になった原子力潜水艦が核燃料棒を積んだまま何十隻も、極東のウラジオストックに放置されている。

*クルスク号関係:ロシアの映像

*西村拓也著「ドキュメント原潜爆沈 クルクスの10日間」 小学館文庫