浜岡だけなぜ

唐突な決定を許すか
   第37回G8サミットは5月26日と27日に、フランスのドービルで開催される。この会議へのお土産として、福島原発非難をかわす目的で経産省の役人が提案したのが、浜岡原発の停止だ。管首相はこの案に飛びついただけの事だ。「国民の皆様に重要なお知らせがあります」とか切りだして、如何にも自分でリーダーシップをとっているかのようなパフォーマンスが透けて見える。
   

  中部電力浜岡原発は確かに、過去様々なトラブルを続出してきている。すでに廃炉になっているが、2001年11月に、緊急炉心冷却装置の試験中に、原子炉と熱交換器を結ぶ配管が破断して、原子炉溶融の一歩手前までいった。さらに、この時に、原子炉本体を納めている圧力容器の底から水漏れまでしていたことが分かった。


  全国17か所に原子炉54基があり、現在稼働中の炉はその半数程度であるが、地震津波の危険にあるかどうかを問えば、すべてあると言える。首相が言うような、東海地震の起きる可能性は、地震学者の予想によれば、311の宮城県沖よりも、はるかに高かったはずだ。地震学者の予想もできなかった事を首相が軽々に30年以内に87%の確率で起こるなどと、唐突に言うべきではない。


  原子炉を停止しても福島原発のように、事故を起こす事が証明された。地震で自動停止したが、電源がすべて落ちて冷却システムが機能しなかったからだ。浜岡原発を停止したとしても、安全対策が十分に取られていなければ、大地震に対する防御は不十分なのだ。だから、サミットへ向けた見え透いたパフォーマンスと言われるのだ。

   いずれにしても、中電は上場企業の株式会社であり、株主に対する重い経営責任を負っているのだ。首相からの要請があったからと言って、はいそうですかとは軽々には応じることは難しい立場にあるはずだ。浜岡だけ停めて、他は許すと言う不合理な言いがかりを、やすやすと認めては株主から別の訴訟を起こされかねない。

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