だしに使われた中部電力

浜岡原発停止
  総理大臣が浜岡原子力発電所の運転を停止するよう要請したことを受けて、東京市場中部電力の株式は取り引き開始直後から売り注文が広がり、終値は先週末より182円安い1584円となり、10%余り値下がりし、平成12年4月以来の安値となった。停止の理由が、どう考えてもマンガ的だ。理由として「今後30年以内にM8級の東海地震が発生する可能性が87%」という具体的な予想値まで示されたからだ。

  これまでに、どの地震学者もここまで確率的な数値を上げて自信をもって、大地震の可能性に言及した例はない。2040年までに、M8級の東海地震が87%の確率というなら、その根拠を具体的に説明してもらおう。これほど具体的に地震予知が可能ならば、どうして宮城県沖のM9という巨大地震の予想ができなかったのか知りたい。

  5月26日と27日にフランスの東海岸にある保養地ド―ビルで開催されるG8に出席するにあたり、いろいろとお土産を物色していたら、経産省の役人が「浜岡原発停止」というニンジンをぶら下げたところ、総理がこれに飛びついただけであろう。原発は停止したところで、すべて終わりではなく、冷却システムを稼働し続けなければならない。福島でも地震と同時に原子炉は制御棒が入り停止したはずだ。その後の津波で電源まですべて停止したために起きた事故だ。その意味では、安全性には稼働していても停止していても全く同じである事が理解できる。

  中部電力は役員会で浜岡原発の停止を決定した。これで株主代表訴訟を起こされて、役員は全員破産する事になるだろう。全ては、菅首相の思いつき発言のせいなのだから、中部電力は国家賠償補償を請求することができる。結局は消費者である国民に付けが回されることになる。