東海地震の可能性

東海地震は本当に来るのか
   菅首相は「今後30年以内に震度8以上の地震が来る確率は87%」と浜岡原発を停止する理由として挙げた。これはこじ付けで、本当の理由は、大衆に迎合して支持率を上げる狙い、指導力を発揮して管降ろしを封じ込める狙い、今月末にフランスで開かれるG8へのお土産にする狙いなどと永田町では憶測されている。87%という数字は地震調査研究推進本部のデータであり、これを信じて「緊急に地震対策を取る必要がある」と判断したという。首相ともあろうものが唐突で軽率な判断をするから、他の理由があると想定されてしまう。
  

   東大の地震研究所をはじめとして、地震学者は過去、太平洋岸の四国から東海にかけてM8クラスの地震が起きる可能性があるからとの理由で、国から膨大な研究予算を獲得する手段としてきた。これには311の宮城県沖地震の可能性などは全く無視されてきた。東海地震は1944年の東南海地震により、岩盤のひずみが開放される可能性が高く、数年以内に起きると言う説によっている。しかし、その後、その可能性は否定されて、予算獲得の口実としてだけ利用されて来た。

   「災害は忘れた頃にやってくる」という寺田虎彦先生の名言がある。しかしながら、50年間の間、大きな地震が起きていないから、大地震はないだろうと言う地震空白域では大地震の発生が差し迫っているという説も実証されてはいない。地震の発生は定期的でも周期的でもないという説が支配的になってきている。要するに、大地震は予知できないという説だ。

   原発立地での国の地震発生確率では、この1年以内でも、福島原発周辺では確率1%以下と発表されていた。それほどに地震予知は難しい。それを敢えて重要な意思決定に使ったところに管首相の胡散臭さがある。それに、原発を停止したところで、冷却システムを順調に稼働続けなけらばならないのだから、それほどまでに地震の危険があるのなら、あまり意味のないことだ。予め止めていたか、地震で緊急停止したかの違いだけだ。