枯渇するエネルギー資源

いずれは再生エネルギーだけに

  日本の電力は、現在、60%が火力、30%が原子力、10%が水力となっている。太陽光、風力、地熱、波力などの再生可能エネルギーはコスト高だから微々たるものだ。世界では、毎日1000万トンの石油、80億立方メートルの天然ガス、1500万トンの石炭を消費し、年間300億トンの二酸化炭素ガスを出している。これらの化石資源は地球温暖化の原因とされて、温室効果ガス排出削減を目指して、1997年12月京都で開かれたCOP3で気候変動枠組み条約が締結されている。

  

  この中で、原子力発電はクリーンエネルギーとして、米国をはじめとして期待が大きく、日本でも40%をめどとして原発推進が大きな方針となってきた。311災害に伴う原発事故で、後退を余儀なくされている。いずれにしても、原油天然ガスの埋蔵量は残り70年、石炭の残存埋蔵量は120年で尽きる。また、原発のウランについても可採年数は80年と推定されている。世界人口は今年末には70億人となり、2050年には90億人となるから、化石燃料やウランに頼る現在のエネルギー源は、人の欲望には限度かないことを思えば、もっと早く尽きるであろう。


  プルサーマルは、現在の方式よりもさらに危険性が高いから、このような状況では殆ど実用化が無理と思われる。そうして、人類は必然的に、再生可能エネルギーのしか求める道がなくなる。その補佐としてバイオマス発電などが使われるであろう。集積度の低い太陽や風力を効率よく利用して行くには、様々な技術開発が求められる。発電能力と共に、開発が急がれる領域は蓄電技術である。このような次世代エネルギー開発には残されている余裕は余りない。これを機会に、日本がこれまでに培った科学と技術の総力を挙げて取り組む課題が見えてきた。