重大事故の法則

ハインリッヒの法則Heinrich's law
   大きな事故があると、重大事故発生の陰に隠れた、ささいな事故について分析したハインリッヒの法則が話題に出る。ハインリッヒはアメリカの技師で、1920年代に労働事故の研究をして、この法則を提示した。1人の重傷者の陰に29人の軽傷者、その裏には 怪我には至らなかったが、300人がヒヤットしたりハットしたりしているという法則である。これは事故にもあてはまり、1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故があり、その背景には事故にはならなかったが300件もの異常な事態があるというものだ。
  

  通常のビジネスでも同じで、1件の大失敗の裏には29件の顧客から寄せられたクレームや苦情があり、さらにその裏には、しまったと思っても外からの苦情がないために見逃しているケースが300件存在しているという。サービス業では顧客の不満やクレームを迅速に察知して、重大な失敗を回避するだけでなく、不満足を満足に変えて顧客満足度を高める重要なポイントになる。

   福島原発事故は、これまでに東電が提供してきた数々のサービスに対して、多くの疑心や不安が表明されてきているが、東電はこれに対していつも情報を隠して、的確に対処してこなかったことに起因するところが大きいと言える。2007年7月16日の中越沖地震に襲われた柏崎原子力発電所で、さまさまな被害を経験していたにも関わらず、今回の地震でより大きな事故を起こしてしまった事は、まさにこの法則に当てはまる事態である。