日本経済の岐路

財政と金融の齟齬
   日本経済を支える政策は政府管轄の財政と、日銀管轄の金融である。財政赤字が1000兆円にもなり、IMFからも何とかしろと要求が来ている。これに襲いかかってきたのが311災害である。復興には一般会計予算の半額の40兆円かかりそうだ。これ幸いとばかりに政府は便乗して消費税アップなどと言うが、ここは国民のタンス預金など100兆円を何とか利用する手立てを考えるべきであろう。増税したら完全に日本経済はダウンしてしまいかねないからだ。

   そこで期待がかかるのは成長力アップを狙う金融政策で、昨年の秋から運用を始めて総額3兆円の貸出枠を使い切り、新たに5000億円の枠を準備すると日銀はいう。中小企業やベンチャー向けの融資で、環境やエネルギー、医療などの成長分野に融資する金融機関に年0.1%の超低金利で資金を貸し出す。


   日本経済を成長させるには、資本蓄積の増大、技術革新、労働力人口の増加が必要である。問題は労働力人口で、1995年には1750万人だった65歳以上の人口が、2010年には3000万人だから、生産年齢人口はどんどん減少続けている。さらに、20代30代の若年層に仕事がなく、失業率が10%に迫っている。これでは、いくらカネを回しても成長につながらない。


   資本と技術をいくら充実させても、人口減少には手の打ちようがない。民主党子ども手当の充実といいところに手を伸ばしていたが、党内の争いで消耗している。このままでは、有力企業の海外脱出に拍車がかかり、それに伴い、関連する中小企業も選択を迫られることになる。あとは、高齢者や女子の活用か移民の受け入れしか道はない。日本経済は災害を契機として重大な岐路に立たされている認識が各界に不足している。