検察の理念

必要なのは司法の理念
    証拠改竄や隠蔽事件などの不祥事を受け、最高検は検察職員が従うべき基本規程「検察の理念」を作成した。検察官らの行動基準を記した規程は、これまで国家公務員としての服務規律以外にはなかった。検事としての使命や役割などを組織内外に示すのが狙いという。基本姿勢をまとめた前文と実務上の指針を示した10項目からなる。「無実の者を罰しない」、「証拠・情報を適正に管理」など、一連の不祥事を意識したもので、驚くことに一般の社会では常識的で当たり前の事が書かれているだけだ。

    「検察の在り方検討会議」の提言を受けて、今年4月から半年以内をめどにこうした規程を制定するよう求められていた。「検察の本来あるべき姿を再確認しただけで、なぜ今、それを掲げなければならなくなったのか、厳しく自己検証し、理念を実現できる組織に生まれ変われるかが今後の課題」だと言われている。

    具体的な内容は、公正誠実に職を行うこと、基本的人権の尊重と適正な手続き、無実の者を罰してはいけないこと、十分な証拠を収集すること、供述の任意性の確保、幅広い知識と教養を身につけること、など全部で10カ条の指針としている。今さらこのような常識的で当然に事項を規定しなければならないところに、検察の病根の深さが表れている。この内容については、そっくり裁判官にも当てはめるべきと思う。つまり「裁判官の理念」を早急に最高裁は制定すべきだ。