国際格差デモ

格差の指標
   アラブの春に続いて、米国で始まったデモは格差デモと言われている。1%の富裕層と99%の底辺層と極論されている。地方と都会の格差が拡大したとか、金持ちと貧乏人の格差が広がっているとかいうが、格差の指標としては使われている係数のひとつにジニ係数がある。係数の範囲は0から1で、係数の値が0に近いほど格差が少ない状態で、1に近いほど格差が大きい状態であることを意味する。ちなみに、0のときには完全な平等で、つまり皆同じ所得を得ている状態を示している。一般的には0.2〜0.3が通常の値と言われている。自由経済においては0.3〜0.4程度で、市場経済では競争の結果、格差が生じやすくなることを意味している。係数が0.5を超えると格差が大きく社会の歪みが大きくなるので、政策などで是正することが必要とされる。


   このジニ係数は、イタリアの数理統計学者ジニが1936年に考案した指数で、所得にかんするジニ係数なら、その国や集団の構成員の所得格差が、全体として、平均所得に対してどれだけになるかを表す。たとえば、平均所得が400万円でジニ係数が0.4の集団なら、構成員どうしの所得の差を全体としてみると、160万円の格差があることになる。日本でのジニ係数の統計には、3年ごとに集計している厚生労働省の「所得再配分調査」や、毎年集計する総務省の「家計調査」がある。


   日本のジニ係数は1969年代から70年代までは一定範囲内で変動していたのに、80年代からは増大傾向が続き不平等度が拡大してきている。公表されている厚生労働省調査の2007年のジニ係数を1981年と比べると、「当初所得」で0.35から0.47になり、納税や社会保障給付後の「再配分所得」では0.31から0.42に増大している。先進国のトップは米国で0.48であるから、日本も徐々に米国型に近づいていることが分かる。