牡蠣の季節

オイスター
   牡蠣のおいしい季節である。英語でRの付かない月には食べてはいけないというが、今ではいつでも食べられる。けれどもこの原則は生きているので、特に外国で食する場合は気をつけたほうがよい。もう長い間生きてきたので、あちこちで生牡蠣を食べてきているが、やはり牡蠣といえば日本以外では、アメリカのボストン周辺の東海岸、フランスのモンサンミッシェルを中心とした南北の大西洋岸に尽きるであろう。フランスでは50年前に牡蠣が赤潮で全滅になったことがあったが、日本からの種付けで蘇ったということで、日本のものに近い品種がある。東北大震災では、このお返しに仏のノルマンディーからタネ牡蠣が送られてきているそうだ。

     さて、米国の食文化といえばその中心はステーキであるが、東海岸のボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、ワシントンDC、マイアミ、西海岸のシアトル、サンフランシスコ、ロサンジェルスでは特に美味なシーフードを食することが出来る。ニューヨークで最も有名なシーフード・レストランはオイスターバーでグランド・セントラル駅の地階にある。かなり大きなバーというよりもレストランで、海のものなら何でもさまざまな料理法で出てくる。毎日その日の入荷でメニューが変わるが、やはり牡蠣とチェリー・ストーンといった貝類がおいしい。

   ボストンではまずは空港からのトンネルを出たところにあるユニオン・オイスターハウスに寄ってみたい。ここは古いレストランでケネディとか有名人がいつも座っていた席なども残っている。店先には魚介類が山と積まれているのですぐに分かる。次に、ここから車で10分ぐらいのピアフォーに行くことにする。ローガン空港の見える桟橋にあるレストランで、ここでは牡蠣というよりも巨大なスチームド・ロブスターを注文し、溶かしたバターにレモンを振りかけて味わうとよい。デザートはホット・アップルパイをお薦めする。懐かしいボストンの香りである。
*Anthony’s Pier4(Boston)
*Union Oyster House(Boston)
*Oyster Bar(品川)